2016年
2016年12月
息白く 山門くぐり 手を合わす 照代
冬晴や 由緒の寺の ほうきの目 依田節子
茅ぶきの 伽藍の下に 一人きて
秋の薄日に いにしえ思う 恵定
2016年11月
くるみ餅 古刹めぐりや 冬の空 ひさ子
六百年 歴史を見つめる 紅葉かな
移りゆく 自然と生きる 前山寺 歩
くるみもち もみじながめて したつづみ ひとみ
見上げれば 歴史の深し 前山寺 山崎孝子
竜田姫 千々に染めゆく 野山かな 屋敷桂子
前山寺 秋の紅葉 まっさかり
手をひかれ 山門くぐり 紅葉かな 泉
2016年10月
赤とんぼ 一飛びとんで 空広し 柳星
白萩の 生垣にして 風と住む 小林和子
秋雨に 身清めらるる 前山寺 中村栄男
秋雨の あがりて参る 前山寺
秋天や 信濃の塔に 昼の月
前山の塔 見上げてみれば 雲流る 優子
鳴き急ぐ 七日の命 蝉しぐれ
ぎんなんの においが香る 前山寺
2016年8月
新涼や 塔にそぼふる 小ぬか雨
ひろうした 心をすてに 前山寺
山寺に こたえをもとめ 朝散歩
前山寺 おはぎおいしい お寺かな
汗にじむ 祖母の手をひく 夏階段
真言の 降る山寺の 静けさや
三重塔 見上げてはせる 数百年
蒼天に 三つ重なる 塔と蝉
物干しに 男の衣だけ 秋立ちぬ
静けさに せみのなき声 いそがしく
晴天の 蝉鳴く空に そびえ立つ
2016年7月
梅雨ぞらに バス旅行でも 手を合わせ
梅雨さめの 激しきあとの 蝉しぐれ あゆみ
山門へ 悟され登る 蝉時雨 三尾和子
汗かきても 心は涼む 御塔かな おさむし
霞む山 梅雨雨降りし 鐘の音 神田
夏盛り 母との思い出 未完の塔
真田郷 思いで深く 前山寺
2016年6月
あじさいに ほっと一息 梅仕事
あじさいや おはぎ食べたし 前山寺
せみの声 年を取る度 変わるかな
風がふく 上田の里の 前山寺 山内大一
鳴くせみの 梅雨明け前の 暑さわく
しんしんと 緑に響く せみの声
蝉のこえ 未完の塔に 再会す
梅雨なかば かやぶきの屋根 かがやきて
未完なる 古塔静まり 風香る 侑
梅雨晴れ間 独鈷の山見て 和むかな
2016年5月
新緑や 古刹のままの 前山寺 内藤敏雄
新緑に 時の鐘を 七つ聴き
くるみおはぎ 鐘の音響き 夏真近か 福島友子
初夏の風 大河のちから 真田丸
訪ぬれば なんじゃもんじゃの 花咲けり
これがまあ なんじゃもんじゃや 山の寺 長塚健
樹木医の 咲かせし寺の 藤の花 森田孝子
藤ちって 三重の塔 ちいさけり 健
梵鐘の 鳴りひびくなり 前山寺 友と歩みつ 初夏の風
黒須千代子
はるばる旅に 来てみれば ついた所が 前山寺
心しずかに 手をあわせ
2016年4月
桜咲く 朝静けさに 手を合せ
遠山に 強かぜ吹いて 花は葉に 佐藤孝志
花ひらり 真田の郷と 散りゆきて 昌子
れんぎょうの 小道の先に 三重の塔 筑山
三重の塔 屋根それぞれに 春の風 筑山
静けさや つつじ五分咲き 前山寺
旅人が 迷い迷って 三重の塔
2016年3月
名残り雪 山の目ざめを 待ちわびる
梅香る 春を迎えし 前山寺 かおり
前山寺 春の息吹にと 桜つぼみ 卓暁
故郷へ 別れを前に 前山寺 愛
家族でね 笑顔重ねる 前山寺 早規
久し振り 戻りし故郷 春寒き 和男
はるばると 来てみたり 前山寺
花はまだ めじろが鳴いて 山静か 伊都子
藤の花 咲きしを夢み 三重の塔
太っちょケヤキ 七百年の 重みかな ひとみ
病みあがり 友に引かれて 前山寺 佳明
福寿草 今その時を 大切に 細越 美和
春分の日の 前山寺 三重塔 うめ
2016年2月
雪景色 見比べ拝む 三重塔 及時雨宗江
母娘旅 登って登って 前山寺 喜乃治
御朱印に 思い出重ね 前山寺 安美
家族でね 参拝来たよ 前山寺
雪の道 孫と一緒に 寺まいり 宮島愛子
2016年1月
静寂の 中の充実 雪しづる 堅助
初春や 孫と拝みし 前山寺 秀代
初春や 合格祈願の 前山寺 真
若き日の 思い出かたる 前山寺 悦子
松葉にも 世界が宿る 我が子の手 史子
冬の日に 光一筋 塔に射す 濱本光
寒なれど 我をうるをす 未完の塔 智弘
雪ふりて 澄んだ空気に 鐘なりひびく
静けさに ふと気がつけば 時を忘るる 航