大正11年4月13日 特別保護建造物指定
昭和25年8月25日 国の重要文化財指定
前山寺の参道を通って山門をくぐり、南方に石段と銀杏の木を前景に立つ三重塔の姿は美しい。
塔の建立年代は、資料がないのではっきりしないが様式上は室町時代の初期と推定されている。その後の記録によれば、寛喜・正平・天正・安永・嘉永・明治年中及び平成十年に修理が行われ、昭和十一年には解体修理が行われた。
塔は三間三重で、高さ19.5メートル、屋根は柿葺である。
「未完成の完成の塔」と言われ、二、三重の柱に長押仕口がありながら、窓も扉もなく、また廻廊も勾欄もない。ただ長い胴貫が四方に突出して、うまく変化と調和を持たせている。相輪は鋳鉄製で、格狭間付露盤、伏鉢、請花、九輪、水煙、竜車、宝珠よりなる。内部には四天柱がなく、折上小組格天井とし、中央に須弥壇を置く。様式は、和様、唐様の折衷様式で、初重頭貫鼻が象化に移行する初期のものとして、時代の特徴がうかがわれる。